エアコンをつけても冷えない?故障を疑う前に「温度」を測ってみてください

今年も厳しい暑さが続いています。
最近では40℃を超えるような日も珍しくなくなり、エアコンをつけていても「なかなか部屋が冷えない」というご相談が増えています。
SNSやインターネットを見ると、
- 部屋の畳数に対してエアコンの能力が足りない
- エアコンのガスが不足している
- 室外機が暑くなりすぎている
- エアコンが故障している
など、さまざまな原因が紹介されています。
もちろん、どれも可能性としては考えられます。

ただ、エアコンが本当に冷えていないのかを確認するために、一番わかりやすい方法があります。
それが、
「温度を測ること」
です。
これはエアコンを点検するときの基本的な確認方法ですが、意外と一般向けの記事では紹介されていません。
「冷えている気がしない」ではなく、実際の温度を測る

人間の感覚は意外とあいまいです。
同じ25℃でも、湿度や日差し、壁や天井から伝わってくる熱によって、涼しく感じることもあれば暑く感じることもあります。
そこでエアコンが正常に冷房しているかを確認するときは、
室内機が吸い込んでいる空気の温度と、吹き出している空気の温度を測ります。
たとえば、
- 吸い込み温度 30℃
- 吹き出し温度 20℃
であれば、
温度差は10℃
です。
メーカーの取扱説明書でも、冷房運転をしばらく行ったあと、室内機の吸い込み口と吹き出し口の温度差を確認する方法が紹介されています。
シャープの取扱説明書では、冷房時に8℃以上の温度差があれば正常の目安とされています。
そのため一般家庭で確認する場合には、
吸い込みと吹き出しで、おおむね8~10℃程度以上の温度差があるか
をひとつの目安にすると分かりやすいと思います。
ヤザキ電気でも、エアコンの点検や試運転では毎回この温度差を確認しています。
正常に冷房しているエアコンでは、10℃前後の温度差が確認できることがよくあります。
ただし、外気温、室温、湿度、風量、機種、運転状況などによって数字は変わります。
そのため、
「10℃なければ必ず故障」
「10℃あれば絶対に故障していない」
という意味ではありません。
あくまでも、エアコンの状態を判断するための非常に分かりやすい材料のひとつです。
室外機も温度を測ると状態が見えてくる
ヤザキ電気では室内機だけでなく、室外機についても吸い込み側と吹き出し側の温度を確認します。
冷房運転中の室外機は、室内から運んできた熱を屋外へ放出しています。
そのため正常に冷房していれば、室外機からは吸い込んだ外気よりも暖かい空気が吹き出します。
現場で測定している感覚では、
室外機の吸い込みと吹き出しで5℃前後の温度差
になることもよくあります。
ただし、こちらは室内機以上に外気温、風量、機種、インバーター制御などの影響を受けます。
そのため、
「5℃差があれば必ず正常」
という基準ではありません。
室外機側の温度差は、あくまで点検時の補助的な判断材料として考えています。
エアコンが正常でも「部屋が冷えない」ことはある

ここが今回、一番お伝えしたいところです。
先日、実際にあった現場です。
古い平屋のお宅だったのですが、天井裏を確認したところ、
天井裏に断熱材がまったく入っていませんでした。
真夏の直射日光を屋根がまともに受け、その熱がそのまま室内側へ伝わっている状態です。
実際に室内側から天井表面の温度を測ってみると、
約39℃
ありました。
これはかなり厳しい環境です。
平屋の場合、天井のすぐ上が屋根です。
そこに断熱材がなければ、屋根から入ってくる熱が天井を通して室内へどんどん伝わってきます。
室内機は通常、部屋の高い位置に設置されています。
天井付近が非常に高温になれば、当然エアコンが吸い込む空気の温度も高くなりやすくなります。
仮にエアコンが正常に動いていて、
吸い込み温度35℃に対して吹き出し温度25℃。
つまり、しっかり10℃温度を下げているとしても、部屋には屋根や天井から大量の熱が入り続けています。
エアコンのすぐ近くでは涼しくても、少し離れた場所や部屋の隅までは十分に冷えないことがあります。
すると人間の感覚としては、
「このエアコン、全然冷えない」
となってしまいます。
ところが実際に温度を測ってみると、
エアコン自体はきちんと冷房している。
ということもあるのです。
「8畳の部屋だから8畳用」で必ず冷えるとは限らない
エアコン選びでは、
「この部屋は8畳だから8畳用」
と考えることが多いと思います。
もちろん、それが基本的な選び方ではあります。
しかし実際に部屋を冷やすために必要な能力は、畳数だけでは決まりません。
たとえば、
- 平屋か2階建てか
- 最上階の部屋か
- 屋根や天井に断熱材が入っているか
- 西日が強く当たる部屋か
- 窓が大きいか
- 建物の断熱性能
- 外気温
- 室外機の設置環境
などによって、同じ8畳でも冷房に必要な能力は大きく変わります。
特に最近のように外気温が40℃近くまで上がる環境では、昔と同じ感覚だけで判断するのが難しくなってきています。
自分で確認するなら、まず温度差を測ってみてください
「エアコンが冷えないかも」と思ったら、業者を呼ぶ前に温度を確認してみるのもひとつの方法です。
難しい測定器は必要ありません。
市販されているデジタル温度計でも、ある程度確認できます。
測る場所は2か所です。
① 室内機上部の吸い込み口付近
ここで、エアコンが吸い込んでいる空気の温度を測ります。
② 室内機の吹き出し口付近
ここで、エアコンから出てくる冷風の温度を測ります。
確認するときは、冷房運転にして設定温度を低めにし、窓やドアを閉めた状態で15~20分ほど運転してから測ると分かりやすくなります。
吸い込みが30℃、吹き出しが20℃なら、
30℃-20℃=10℃
です。
このように8~10℃程度以上の温度差が確認できれば、少なくともエアコンが空気を冷却する働きはしている可能性が高いと考えられます。
逆に、
吸い込み30℃、吹き出し27℃
というようにほとんど温度差がない場合には、
- フィルターや熱交換器の汚れ
- 室内機や室外機の風量不足
- 室外機周辺の風通し
- 冷媒ガス不足
- 冷凍サイクルやコンプレッサーなどの不具合
といった原因を調べる必要があります。
なお、測定するために指や温度計を室内機や室外機の奥へ差し込むのは危険です。
必ず安全な範囲で、吸い込み口付近や吹き出してくる風の温度を測ってください。
大切なのは「感覚」ではなく「測った数字」
エアコンの点検で大事なのは、
「なんとなく冷えていない気がする」というだけで故障と決めつけないこと
だと思っています。
もちろん、本当に故障している場合もありますし、冷媒ガスが不足しているケースもあります。
しかし、
「部屋が暑い」ことと「エアコンが冷房していない」ことは、必ずしも同じではありません。
建物から入ってくる熱があまりにも大きければ、エアコンが正常に運転していても部屋が十分に冷えないことがあります。
だからこそ、まずは、
吸い込み温度は何℃なのか。
吹き出し温度は何℃なのか。
その差は何℃あるのか。
ここを実際に測ってみる。
これだけでも、かなりのことが分かります。
ヤザキ電気でもエアコンの点検では、こうした客観的な数値を確認しながら、
「エアコンそのものに問題があるのか」
「建物や設置環境の影響なのか」
を切り分けて考えるようにしています。
エアコンをつけても冷えないと感じたときは、
「故障かもしれない」と考える前に、まず温度を測ってみる。
困ったときのひとつの判断材料として、覚えておいていただければと思います。



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