エアコン工事でアスベストは大丈夫?古い家にお住まいの方が知っておくべき対策


「エアコンの工事って、もしかしてアスベストが出るかもしれないって聞いたんですけど…」
そんな不安の声を、最近よく耳にするようになりました。とくに築年数が古い家にお住まいの方は、「うちも当てはまるのでは?」と心配になっているかもしれませんね。
たしかに、アスベストは健康被害のリスクがある素材です。しかし、正しく知って、きちんと確認しておけば、過度に怖がる必要はありません。
実は、2006年9月1日以降はアスベストの使用が禁止されており、最近では2023年10月1日から「有資格者による事前調査」が義務化されるなど、国のルールもしっかり整っています。
この記事では、
・アスベストが使われていた時期や場所
・ご自宅が対象かどうかの見分け方
・不安を感じたときの相談ポイント
などを、電気工事士の目線からわかりやすくお伝えします。
「これを知っておけば、安心して工事をお願いできる」
そんな内容になっていますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
アスベストとは?どこに使われていたのか

アスベストとは、「石綿(いしわた)」とも呼ばれる天然の鉱物繊維で、熱や摩耗に強く、断熱・防音・耐火性に優れていたため、かつては多くの建材に使われていました。
とくに1970年代から1990年代前半にかけては、住宅やビルの建設現場で広く利用されており、次のような部分に使用されていました。
・吹き付け材(鉄骨の防火材など)
・壁や天井のボード類
・屋根材や外壁材(スレートなど)
・配管の保温材
こうしたアスベスト含有建材は、削ったり壊したりすると空気中に細かい繊維が舞い上がり、それを吸い込むことで健康被害が起きるおそれがあります。
しかし、国の法改正により、2006年9月1日以降、アスベストの製造・使用は全面的に禁止されました。
また、2023年10月1日からは、解体や改修工事を行う際には、有資格者によるアスベスト事前調査が義務化され、より安全性が高まっています。
つまり、現在のエアコン工事では、「使われているかもしれない建材」と「安全な建材」が明確に分かれており、きちんとした確認を行えば、リスクを抑えることができるということです。

自分の家が対象かどうかを見分けるチェックポイント

「うちの家は古いから、アスベストが使われているかもしれない…」
そんな不安を感じたとき、まず確認してほしいのが、家の「築年数」と「工事の内容」です。
● チェックポイント1:築年数(着工時期)
アスベストの使用が禁止されたのは、2006年9月1日以降です。
つまり、2006年8月以前に着工された建物には、アスベスト含有建材が使われている可能性があります。
この日付は「完成日」ではなく「着工日」で判断されます。
ご自身の家がいつ着工されたか、資料が残っていれば一度確認してみてください。
● チェックポイント2:工事で手を加える場所
エアコン工事の中でも、壁に穴を開ける場合や外壁に配管を通す場合は、建材の種類に注意が必要です。
特に、古いモルタル壁やスレート外壁などは、事前に専門家の調査が推奨されます。
逆に、既存の配管穴をそのまま使う場合や、内装の壁が石膏ボードである場合は、アスベストのリスクは低いことが多いです。
● チェックポイント3:「みなし」判定の対象建材
2023年10月の法改正により、アスベストが含まれていると“みなす”建材が一部で定められています。
調査を省略できる反面、「ある前提で対応する」という意味でもあるため、その建材が使われているかどうかも確認のポイントです。
実際にどう対処すればいい?

「もしかして、うちもアスベストがあるかもしれない」
そう感じたとき、まずやるべきことは“自己判断しない”ことです。建材にアスベストが含まれているかどうかを見分けるのは、専門知識がないと非常に難しいからです。
そこで重要になるのが、「有資格者による事前調査」です。2023年10月からは法律により、解体や改修工事を行う際にはこの調査が義務づけられました。
事前調査では、建材の種類や使用されている場所を確認し、必要に応じて検体を採取・分析します。
万が一アスベストが含まれていると判断された場合は、適切な処理を行う必要があります。たとえば、次のような対策が取られます。
・作業員は、防護服・マスク・手袋などの保護具を着用
・粉じんが飛散しないように湿潤化(濡らして飛散を抑える)
・作業後には、専用の掃除機での清掃が必要
この「専用の掃除機」というのも、実は重要なポイントです。
アスベスト作業用の掃除機は、通常の家庭用掃除機とはまったく構造が違います。
HEPAフィルター(0.3μmの微粒子を99.97%以上捕集)を搭載しており、アスベスト繊維を確実に閉じ込める設計になっています。
また、本体やホース、接続部の密閉性も非常に高く、作業中にアスベストが漏れ出すことを防いでいます。
さらに、アスベストは掃除機内のダストパックごと廃棄できる設計になっており、作業者が粉じんに触れるリスクを最小限に抑えています。
このように、アスベストが関係する工事では、
・資格者による事前調査
・専用の道具と手順
・作業者の安全対策
がすべてセットで必要になります。
私たちのような電気工事業者は、そうした対応が必要な場合、信頼できる専門業者と連携しながら、安全かつ確実な施工を行っています。

まとめ

アスベストという言葉に、不安を感じる方は少なくありません。特にご自宅が古い場合、「うちも当てはまるのでは?」という心配は当然のことだと思います。
しかし、2006年9月以降はアスベストの使用が原則として禁止され、2023年10月からは有資格者による事前調査が義務化されるなど、安全対策は年々強化されています。
また、実際のエアコン工事において、アスベストが問題となるケースは一部に限られており、多くは正しい手順を踏めば安心して施工できる状況にあります。
大切なのは、「知らずに進めること」ではなく、「不安なことをそのままにしない」ことです。
築年数や工事内容に少しでも不安がある場合は、どうか一人で抱え込まずにご相談ください。
私たち街の電気屋は、お客様の不安に寄り添い、最も安心できる方法をご提案いたします。
「うちは大丈夫かな?」と思ったときが、動くタイミングです。
まずは、専門業者に一度確認してみてください。
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